112 幼稚な男【題外話にイベントあり】_3

渡辺愛美はしばらく躊躇した後、やはり我慢できずに尋ねた。「麻琳、ごめんね、やっぱり聞きたいんだけど、あなたはどうして孤児院に行くことになったの?」

渡辺愛美は本当に木下麻琳のことを心配していたので、細かいことまで詳しく知りたかったのだ。

「院長の話によると、戦乱のせいだったみたい。私たちの時代は、社会情勢があまり安定していなかったから。」

木下麻琳は静かに話し始めた。実際、その記憶については、彼女自身もよく覚えていなかった。

「じゃあ、あなたの養父母は...」

渡辺愛美が言いかけると、熊谷徹朗はすぐに割り込んだ。「麻琳はもう話したくないって言ったじゃないか?どうしてまた聞くんだ。」

「私はただ心配してるだけよ?」

渡辺愛美は率直に言った。木下麻琳という子に一目で心を奪われ、心の底から好きになっていた。

木下麻琳の瞳の色が少し暗くなり、その後優しい声で言った。「うん、実は何年も誰にもこういうことを話してなかったの。おじさん、叔母さんを責めないでください。彼女も私のことを心配してるだけですから。」

木下麻琳は過去のことを思い出しながら、静かに話し始めた。「実を言うと、私の実の両親についての記憶はほとんどないの。記憶があるのは、だいたい4、5歳の頃で、その時には私が両親に捨てられたことを知っていた。私を引き取った家族は、心の優しい人たちだから私を養子にしたと言っていた。その家にも娘さんがいて、後に、その家族の両親が亡くなって、私はその娘と一緒に孤児院に来たの。」

「その女の子は私より3歳年上で...心美という名前だった。私たちはお互いに頼り合って生きていたけど、彼女はいつも私に対してあまり優しくなかった。でも私は彼女を恨んでいないわ。結局、彼女の両親は一時期私を育ててくれたし、たとえ...私を大切にしてくれなかったとしても、彼らのおかげで何とか生き延びることができたから。」

「孤児院では5、6年ほど過ごして、心美は誰かに養子に迎えられた。別れる時、彼女は私に、必ず方法を見つけて私も一緒に住めるようにすると言ってくれたわ。」

「十代の子供の言葉は、心温まるけれど、本当にはならないものね。私は心美を待つことはなかった。むしろ、だいたい1年ほど経って、私の養父母が孤児院にやって来て、私を引き取ってくれたの。」