いよいよ面白いことが始まるわね...
冷たい視線が自分に向けられていることに気づき、熊谷紗奈は藤原景裕の冷たい水のような黒い瞳と目が合った。その冷淡さは、単なる他人を見る目ではなかった。
それは...敵を見る目?
熊谷紗奈の顔色が少し変わり、心臓が半拍飛んだ。
一体これはどういうことなの?
さっき藤原景裕が電話を受けてから、ずっと顔色が悪かったわね。
...
藤原家の玄関:
「村上お嬢様、お荷物です。サインをお願いします、ありがとうございます。」
「はい、ありがとう。」
村上念美はギフトボックスだと思っていた。それなら新年の贈り物として適切だと思ったが、予想外にも書類袋だった。
村上念美は素早くサインをして受け取り、リビングに向かった。
村上念美はリビングに入りながら、手にした書類袋を開けていた。
「うーん、何だろう、変ね、贈り物には見えないわ。」
藤原景裕は村上念美がつぶやくのを見て、素早く立ち上がり、彼女に近づき、薄い唇を引き締めた。
「誰から送られてきたんだ?」
村上念美は首を振り、小さな声で言った:「わからないわ、贈り物ではなさそう、書類みたい。もしかして村上氏のパートナー会社かしら?」
「違うわ...村上氏の人は私がここに住んでいることを知らないし、送るとしても会社に送るはず...相馬紗奈ったら、新年の挨拶も贈り物もないなんて、後でしっかり言ってやらなきゃ。」
村上念美は口角を上げ、独り言を言った。
「ああ。」
藤原景裕はうなずき、眉をひそめた。この書類袋に何か問題があるような気がしたが、何とも言えなかった。
「ちょっと待って...」
開けないでほしかった。
藤原景裕が「開けないで」と言い終わる前に、村上念美はすでに書類袋を開け、中身をすべて一気に引き出してしまった。
乱雑な写真が床に落ち、村上念美は床の写真に目を向け、顔色が少し変わった。
写真の主人公は自分だったからだ。
しかし、それは人前に出せるような写真ではなく...惨めな写真だった。
シアトルでの写真だった!
シアトルという言葉だけで、村上念美は心が落ち着かず、崩壊し、拒絶感を覚えるのに十分だった。
藤原景裕が反応したときには、もう完全に手遅れだった。
...