115 景裕、村上念美と離婚しよう_7

村上念美が目を覚ますと少し茫然としていたが、意識がだんだんはっきりしてきた。

昨夜の出来事が次々と脳裏に浮かんでは消えていった...

村上念美の美しい瞳が少し澄み渡り、両手は包帯で包まれていて、まだあまり水に触れることができなかった。

熊谷紗奈、人を侮り過ぎている。

本当に思い切りその女の顔を平手打ちしたかった。

彼女は自分を皆の笑い者にして、そして...自然な流れで自分と藤原景裕を離婚させようとしているのだ。

そして自分を藤原家と熊谷家から遠ざけようとしているのか?

ただ村上念美が全く予想していなかったのは、藤原景裕が自分のシアトルでの事情を知っていること、自分の病状を知っていることだった。

村上念美は手を上げて眉間をこすり、思考が少し混乱していた。

どう皆に対応するか、どう当時の事を話すか、まだ考えがまとまっていなかった...

自分の病状は、すべて原因があるもので、熊谷紗奈こそが当時の元凶だった。

自分はさすがに、熊谷紗奈が手配した人間にレイプされかけたこと、そして...あの事件のことを、大声で言い触らすわけにはいかない、だから...

あの事件のこと、当時の血なまぐさい光景を思い出すと、村上念美は思わず震えた。

藤原景裕がもし知ったら、きっと崩壊するだろう...

お爺さまも、藤原陽も...

村上念美は今、渡辺愛美と熊谷徹朗を知り、心から老夫婦を好きになっていた。

だからこそ、彼らを大切に思うがゆえに、熊谷紗奈が追い詰めてくる中、自分は当時の事を口にすることができなかった。

このままでは、熊谷紗奈はますますエスカレートするだけで、解決策にはならない。

そう考えると、村上念美の瞳が少し暗くなった...自分はもう少しよく考える必要がある。

決して手をこまねいているわけにはいかない。

熊谷紗奈、あなたは知っているのか、人は追い詰められると本当に何でもするようになるということを。

最悪の場合、共倒れだ。

あなたがそんなに好き勝手できるのは、すべて...自分が藤原家、熊谷家の人々を手放せないから、そして最も重要なのは藤原景裕だから。

...

藤原家:

相馬紗奈が既に香港から飛び立ち、昼には大崎市に到着することを確認し、藤原景裕はわずかにほっとした。

昨夜は一睡もしなかった。