116 藤原景裕と村上念美の決断_4

村上念美は目を光らせ、藤原景裕が弱みを握られたことを察した。

藤原景裕を脅すことができる理由は、村上念美が考えるまでもなく、きっと熊谷紗奈が自分を人質に使ったのだろう。

「この結婚は...どんなことがあっても、私は離婚しない」村上念美は断固として言った。

「私が彼女に対してどれだけ我慢し、屈辱を受け入れてきたのも、全部あなたのためよ。もし離婚してあなたを失うなら、私は何のために我慢する必要があるの」村上念美の瞳は清らかな光を放っていた。

藤原景裕はそれを聞いて唇を引き締め、「今は少し時間が必要だ。厄介な問題を処理して、当時の証人や証拠を探さなければならない」と言った。

藤原景裕の瞳に暗い光が走ったが、村上念美はそれを素早く捉えた。

事態は...想像していたほど単純ではないようだ。

結局...傷害事件...殺人にまで関わっているのだから。

その可能性を考えると、村上念美は小さな手を強く握りしめた。

あの時、熊谷紗奈が人を送って強姦しようとした事件は、明らかに彼女が不利な立場だったのに...

今この瞬間、藤原景裕が制約されているのは、おそらくこの件が原因だろう。

この離婚の件は...恐らく...

村上念美は口元に微笑みを浮かべ、静かに言った。「うん、私たちは離婚しない。彼女はそう簡単に諦めないわ...それに、偽装離婚でも彼女を騙すのはそう簡単ではないでしょう」

実際、問題を解決する方法はたくさんあるが、村上念美だけを無事に守るのは難しい。

藤原景裕の瞳が少し暗くなり、手を上げて風で乱れた彼女の髪を整えた。

「君と両親を一時的に海外旅行に送り出したいと思っている」

村上念美:「...」

彼は自分を遠ざけて、一人で問題を処理するつもりだ。

村上念美にはそんなことできるはずがない...

村上念美は口元に微笑みを浮かべ、「また同じことをするの?私を遠くへ逃がして、あなたはその場に残る...3年前と同じように?」

藤原景裕はそれを聞いて目を暗くした。

「違う、今回は馬鹿みたいにその場で待ったりしない。ここの問題を解決したら、必ず君を探しに行く」

村上念美はそれを聞いて心が複雑になり、言いかけては止めた。

自分が去ったら。

彼一人が祖父や、外祖父、藤原陽に立ち向かうことになる...

世間の評判は?