「止めた方がいい?」
村上念美は少し躊躇した後、固く首を振った。
「大丈夫」
藤原景裕の瞳が微かに動き、村上念美のこの頑固な様子を見つめた。まるで学生時代のままだった。
本当に可愛らしい。
「わかった...」
藤原景裕は再び身を屈め、薄い唇を女性の首筋に落とした。しかし、そのまま下へは進まず、ゆっくりと上へと移動し、女性の赤い唇を捉えた。
そして額にもキスをした。
最後に、藤原景裕の長い指が村上念美の胸元に伸び、先ほど外したボタンを一つずつ丁寧に留め直した。
村上念美:「...」
これはどういう意味?
村上念美は美しい瞳を閉じ、これから来るであろう激しい情熱に身を委ねる覚悟をしていたのに、その嵐は突然止んでしまった。
村上念美は唾を飲み込み、困惑した表情で目の前の男性を見つめ、かすれた声で言った:「景裕、あなた...」
「君はまだ完全に準備ができていない。僕は君を急かしたくない」
村上念美:「...」
自分ではうまく装っているつもりだった。震えず、拒絶せず。しかし実際には、彼女を深く愛しているからこそ、彼女の微細な反応から違和感を察知していたのだ。
村上念美の心が微かに動いた...男性の行動と言葉に感動して涙がこぼれそうになった。
「うん」
藤原景裕...本当に馬鹿ね。
「女性の服を脱がすのは簡単だが、再び着せるのは、確かに少し意志力が必要だ...どうやら、私の意志力も危うくなっているようだ」
藤原景裕は冗談めかして言った。額には薄い汗が浮かび、呼吸はまだ少し荒く、声はかすれたままだった。
「寝室で待っていてくれ、シャワーを浴びてくる...」
言い終わると、藤原景裕は素早く浴室へ向かった。
村上念美は浴室から水の音が聞こえ始めてから、ようやく我に返った...
うん、どうやら彼は冷水シャワーを浴びに行ったようだ。
かわいそう。
...
30分後。
村上念美は部屋着に着替え、男性のために清潔な部屋着も用意した。そして藤原景裕が浴室から出てくるのを見た。
村上念美は軽く唇を噛み、頬の赤みがゆっくりと引くまでしばらく時間がかかった。
「あの...夜食に何か食べたい?」
「君は何が食べたい?」
「酒入り白玉団子は?」
村上念美は試すように言った。ただ突然食べたくなっただけだった。