自分に...贈るの?
この南町別荘には、自分と藤原景裕しかいないわ。
村上念美は唇を上げた。藤原さんがこんなに...ロマンチックなんて珍しいわね...
こんなに雰囲気を出して、サンタまで登場させるなんて。
村上念美はゆっくりと手の中の白い紙を広げた。紙には、男性の力強い文字が書かれていた。
昨日よりも今日、君をもっと愛している。
村上念美:「...」
バカね。
これは自分が聞いた中で最もロマンチックな言葉と言えるのかしら。
裏側にもまだ文字があるかもしれないと気づき、村上念美はゆっくりと紙を裏返した。そこには三文字、簡潔明瞭に書かれていた。
ボスを見て。
村上念美:「...」
ボス?
村上念美は視線をカーペットの上に横たわるボスに向けると...ボスが何かを無造作に噛んでいて、赤と緑が散らばっているのが見えた。
村上念美は簡単に判別してみると、それが赤いバラの花びらで、緑色のは葉っぱだということに気づいた。
すでにボスによって見るも無残に噛み砕かれていた。
村上念美:「...」
ふふ...
シベリアンハスキーにこんなロマンチックなことをさせるなんて、自ら墓穴を掘るようなものじゃない?
おそらくボスが口にバラの花を咥えているはずだったのだろう。ただ、このボスが我慢できずにバラの花をボロボロに引き裂いてしまうとは思わなかった。
村上念美は噴き出して笑い、急いで後始末をしなければ。
さもないと藤原景裕がボスを煮込んでしまうに違いない。
村上念美は自分の体の痛みを無視して、素早くベッドから降り、カーペットの上のバラの花びらを片付け始めた。
「ワンワン!」
ボスは村上念美がずっと腰を曲げてバラの花びらを拾っているのを見て、女性が自分と一緒に楽しく遊びたいのだと思い込み、興奮して嬉しそうに、さらに走り回り始めた。
ボスがこのように飛び跳ねると...瞬く間に、バラの花びらの破片があちこちに散らばった。
村上念美:「...」
終わった。
片付けるの大変だわ。
ああああ...
村上念美はまさに発狂しそうだった。
藤原景裕の長身が自分の前に現れたとき、村上念美はまだ部屋の花びらを片付けていた。