村上念美が少し躊躇しているのを見て、村上佑城は淡々と続けて言った。「安心して、君たち二人の会話を邪魔するつもりはないよ。ただ僕たち二人は同じ方向に行くだけだから。」
村上念美:「...」
なぜか、いつも何か変な感じがする。
でも、それが何なのかは言えない...
村上念美はうなずき、自ら小さな手を伸ばして村上佑城の車椅子を押す手伝いをした。
「うん、じゃあ先にあなたを別荘まで送るね。」
「いいよ。」
...
病院への道中、村上念美は文音に何を買っていけばいいか考えていた。
食べ物は...子供が何を好きか分からない。
それに文音の病状によって何が食べられて、何が食べられないのかも分からない。
服を買うとしても...
うーん、実際病院では病院着を着ているし、外部からの服は感染の恐れがあるかもしれない。
あれこれ考えた末、村上念美はやはり普通のフルーツが一番だと思った。
フルーツならビタミンが豊富だし。
文音も食べられるし、笹木愉伊も食べられる...
...
病院の入り口に着くと、村上念美は隣の村上佑城を気遣うように見て、優しく言った。「お兄さん、先にあなたを送っていった方がいい?」
「必要ない、私の助手が一緒に行くから。」
村上念美は今回村上佑城が戻ってきてから、いつも冷たい印象の男性を連れていることに気づいた。
その男性はいつも表情を引き締め、寡黙だった。
村上念美はその男性の名前も知らなかった...
普段は村上佑城が必要な時だけ現れ、通常は静かに隅のどこかにいるような感じだった。
うん、とても神秘的だ。
...
「じゃあ、終わったら電話してね。私は先に友達に会いに行くから。あるいは、どちらかが先に終わったら、病院の入り口で相手を待っていればいいわ。」
「わかった...」
村上佑城はうなずき、表情は冷たいままで、その心の内を察することは難しかった。
村上念美がフルーツバスケットを持って入院病棟へ向かうのを見て、淡々と言った。「彼女の後をつけて、どこへ行くか見てこい。」
「はい、村上さん。」
武田我狼は怠ることなく、すぐに素早く後を追った。その動きは敏捷で、誰にも気づかれることはなかった。
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