藤原氏社長執務室:
村上念美はソファに座り、藤原景裕の腕の中に寄りかかりながら、脳裏に一瞬よぎったのは、かつて大崎市に戻り、危機的状況で任務を引き受けた場面だった。
うーん...
あの時、村上氏は陥れられていた。最大のプロジェクトが損失を出し、資金繰りが厳しくなっていたのだ。
その後、会社は直接問題を抱え、状況は深刻で、いつ破産してもおかしくない状態だった。
さらにその後、村上佑城と村上安子が立て続けに事故に遭った。
村上翔偉は一気に十歳以上も老けたようだった。
木下麻琳に至っては、病床で酸素吸入をしながら横たわっていた。
状況は楽観視できるものではなかった。
村上念美は、もし自分が帰国して藤原景裕を頼らなかったら、この状況がどれほど悲惨なことになっていたか想像もつかなかった。
...
藤原景裕:「...」
村上念美の独り言を聞いて、藤原景裕の表情が微かに変わり、その端正な顔に苦々しさが浮かんだ。
村上念美は藤原景裕の様子の変化に気づかず、独り言を続けた。
「景裕...村上家は普段から誰かと敵対していたのかしら?」
村上念美の好奇心に満ちた言葉を聞いて、藤原景裕の瞳が微かに動いたが、彼女の言葉には応えなかった。
村上念美は眉をひそめながら続けた:「敵対していなかったんじゃない?お父さんはいつも誠実にビジネスをしてきた人だし...よく考えてみると、あの時の村上氏の危機は本当に人為的な災難だったわ。村上氏を引き継いでこの半年以上、私はほとんど...すべての村上氏の取引先と接触して、村上氏の過去のビジネス履歴も簡単に調べたけど、誰が村上氏に悪意を持っていたのか、本当に思いつかないわ。」
「そういえば...相手は村上氏を破産まで追い込むことができたはずなのに、なぜ攻撃するだけで続けなかったのかしら?」
「もしかして藤原氏の介入のせい?でも違うわ、あなたが介入したことは後になって公表されたことだし、ずっと皆は...村上氏が崩壊すると思っていたわ。村上氏の背後にある資金供給は誰にも見えなかったはず。」
「じゃあ、村上氏に敵対していた人物は一体誰なの?彼らの標的は村上氏それとも村上家の人だったの?」
頭を使うことは村上念美の得意ではなく、少し考えただけで頭が割れそうに痛くなった。