第92章 必死に金を使い始める

古川木は自分がどうやって主人の部屋から無事に出てきたのか分からなかった。まず自分の体のパーツを確認してみると、良かった良かった、全部揃っていた。さっきは本当に死ぬほど怖かった。

自分の小部屋に戻ると、ちょうど携帯が鳴った。貧乏なので、彼の携帯はまだノキアの最も古臭いモデルで、電話をかけることしかできず、ゲームで時間を潰すこともできなかった。

「もしもし？弟か？」

「お兄ちゃん、寝た？美味しいバッテリーを持ってきたよ、全部最新の製品で、とても高価で、超美味しいんだ。」

北川木の明るい声が聞こえてきた。美味しいものがあるたびに、兄に孝行するために持ってくるのだった。結局、兄はとても貧乏で、弟として面倒を見るのは当然だった。

「お前はいいよな、お前の主人はとても気前がよくて、毎日美味しいものがあるけど、俺は...ああ、言えば言うほど涙が出るよ。俺は多分、世界で最も不幸なAIだ。」

「お兄ちゃん泣かないで、私たちはAIだよ、AIは簡単に涙を流さないものだよ。それに、まだ私がいるじゃない？すぐに美味しいものを持っていくから。」

北川木の現在の主人は北川和蒼だ。北川和蒼の性格は読みにくいが、彼は北川木に対して本当に優しく、一度も彼を粗末に扱ったことはなかった。

北川木は着ているものも、食べるバッテリーも、すべて最高で最も高価なものだった。

一方、古川木を見ると、最初は乞食のような格好をしていた。結局、彼の主人の服は他人のお下がりだったので、彼が着ている服も当然他人のお下がりか、露店で9.9元の大安売りのものだった。

しかし幸いなことに、今は弟の援助があるので、彼が普段着ているのは弟からもらった服で、見た目はかなり人間らしくなっていた。

「ありがとう弟よ、やっぱり弟が一番俺に優しいな。」古川木は感動して泣きそうになった。

*

古川松陰は不眠症になった。一晩中寝返りを打ちながら、真剣に一晩中考え、突然自分の失敗に気づき、同時にある道理を悟った。

お金を稼ぐのは使うためじゃないのか？

たとえ将来の妻のために貯めていたとしても、もう十分なはずだろう？

実は、彼がケチになった理由はもう一つあった。潜在意識の中で、彼は将来の妻がお金をたくさん使う人だと感じていたので、必死に節約して妻のための資金を貯めていたのだ。