「くそったれの酸化カルシウム!」
深井鷹行は悪態をついた。さっきスマホで検索したところ、酸化カルシウムはCAOという意味で、ちょうど使えると思った。
俺は教養人だ。これからは罵るにも教養が必要だ。
「酸化カルシウムって何だよ?鷹行兄さん、何言ってるのかわからないんだけど?」吉田毅は頭をかきながら、困惑した表情を浮かべた。
「わからなくて当然だ。これは化学式で罵るんだよ。朝音さんが教えてくれたんだ。今度から覚えておけよ、わかった?」
深井鷹行は得意げな顔をして、罵るのもカッコよくなった気がした。
「おお、鷹行兄さんすごいね」吉田毅は理解できなかったが、それでも尊敬のまなざしを向けた。
話している間に、個室のドアが開き、野村部長が自ら現れ、最高級VIPルームに変更し、VIP待遇を受けられると告げた。