第250章 九斗は今夜を越せないかもしれない

今日は太陽がそれほど強くなく、さらに天気自体が少し寒かったので、理屈から言えば日向ぼっこは心地よく感じるはずだったが、九斗は恐怖に駆られて大声で叫び始めた。

彼は自分の頭を抱え、青木朝音の背中に顔を強く埋め、全身を震わせながら、口の中でつぶやいた。「怖いよ、苦しいよ、うぅ……」

「ほら、お日様はあんなに可愛いのに、どこが怖いの？さあ、いい子だから座って甘酢魚を食べましょう」

青木朝音は体を回し、彼の頭を撫でてから、強引に彼を椅子に座らせ、甘酢魚を目の前に出して食べさせた。

再び香りに引き寄せられて気が紛れた九斗の感情は徐々に落ち着いてきたが、顔色は恐ろしいほど青白く、体と歯が震えていた。

「しょうがないわね、私が食べさせてあげるわ」

彼の指が震えて箸もまともに持てないのを見て、青木朝音は自ら彼に食べさせることにした。その様子は限りなく溺愛に満ちていた。

「苦しい……口髭のおじさん、本当に苦しいよ……」

九斗は魚肉を食べながら鼻をすすり、呼吸までが急になり、まるでいつ気を失ってもおかしくないような状態だった。

「もう少しの辛抱よ、あなたは男の子でしょう？」青木朝音は彼の精神的な支えになろうと決めた。

九斗はためらった後、力強くうなずいた。「そうだよ！」

「男の子なら歯を食いしばって耐えなさい！」青木朝音はさらに一口の魚肉を彼に食べさせた。

「アイスクリームはある？一箱持ってきて」青木朝音は冷静な表情で駆けつけてきた林田芸乃歩に言った。

林田芸乃歩は彼女がアイスクリームを食べたいのだと思い、付いてきた女中に取りに行かせた。

彼女は急いで九斗のところに行き、部屋に連れ戻そうとしたが、再び青木朝音に阻止された。その口調は強硬で横暴だった。「彼に触れないで！」

「私は彼のお母さんよ！あなたに何の権利があって止めるの！九斗がもうダメになりそうなのが見えないの？彼の顔色がどれだけ青白くなっているか見てみなさいよ！」

林田芸乃歩は本当に狂いそうなほど焦っていて、青木朝音を見る目には鋭さと恨みが宿っていた。

北川蒼涼が大股で歩いてきて、彼もまた心配と焦りに満ちた表情で、青木朝音に尋ねた。「これで本当に大丈夫なの？九斗に何かあったりしないよね？」

青木朝音は確信を持って答えた。「何も問題ないわ、私の人格と命をかけて保証するわ！」