古川松陰は法廷でも調子に乗り始め、顔色一つ変えず息も切らさずに、むしろ堂々と言い放った:
「そうだ、忘憂は確かに私の恋人だ。そして彼女が好きなのは男性であって女性ではない。どうして強姦などということがあり得るだろうか?」
愛を見せびらかすと早死にするというが、法廷でこんなに公然と愛を見せびらかす者は、即座に逮捕して銃殺すべきではないだろうか?
重要なのは、くそっ、二人の男が愛を見せびらかしているということだ!
裁判官でさえ口元を引きつらせ、陪審員たちも顔を見合わせた。
「異議あり!弁護側は論点をぼかしています!被告が男性を好むことを証明できたとしても、同様に女性も好きであることを排除できません。さらには性的暴行という手段を使ってでも快感と満足を得ようとする可能性があります!私は被告が実は変態であると疑う理由があります!」
長谷結詠はこの言葉を正義感あふれる口調で、憤慨しながら述べた。
青木朝音は平然とキャンディを一口かじり、奇妙な視線で彼を一瞥した。まるでこのバカな弁護士、後で目が見えなくならなければいいがと言わんばかりだった。
彼女は女性なのに、どうやって女性を強姦して満足と快感を得るというのだろう?
そんな技術は持ち合わせていない、ちっ。
それに、彼はどこから彼女が変態だと見抜いたのだろう?
彼女は男装していても、風格のある紳士であり、少しも卑猥で変態的な雰囲気はないのだが!
青木朝音は突然期待し始めた。もし彼女が女装に戻ったら、おそらく在席の全員が表情を崩すだろう。
「異議を認めます!弁護側は被告が女性を好まないことを証明する有利な証拠を提出する必要があります。証拠はありますか?」裁判官が言った。
「もちろんあります。ただし今ではなく、次の証人を呼びたいと思います」と古川松陰は言った。
まだ証人がいると聞いて、ナンシーの姿勢が不安定になり、背中から冷や汗が噴き出したが、すぐに持ち直した。
今回の証人は他でもない、以前青木朝音を取り調べた副隊長の木下進一だった。彼は手錠をかけられ、護送されてきた。
古川松陰の尋問の下、木下進一は上司である副局長から命じられたことをすべて一から十まで明らかにした。その目的は忘憂に強姦犯の罪名を着せ、刑務所に長期間収監することだった。