第310章 美食の誘惑【3000字】_2

北川倫慶は唇を軽く噛み、少し嫉妬気味に北川麟兎を一瞥した。やはり自分はまだ十分にハンサムではない、整形でもしたほうがいいのだろうか?

約30分待って、ようやく最初の料理が出てきた。途端に香りが部屋中に広がり、その香りを嗅ぐだけで人の唾液が止まらなくなるほどだった。

最初の一品は伝統的な名物料理、仏跳牆だった。味が絶品なだけでなく、美容効果があり、老化を遅らせ、免疫力を高める滋養強壮の逸品だと言われている。

「仏跳牆はお爺様方のお気に入りでしょう。お爺様方から先にどうぞ」

北川麟兎は非常に礼儀正しく言いながらも、自分のお腹の中で暴れる食欲を必死に抑え、お年寄りたちを物欲しそうに見つめていた。

「ハハハ、それじゃあ遠慮なくいただくよ」

まず厳谷お爺さんが気さくに箸を取り、嬉しそうに湯気の立つ鳩の卵のような物を摘まんで口に入れた。一口食べただけで、輝きを放つ老眼はたちまち細い隙間になった。

「なんということだ!これはあまりにも美味しい!うむ、これは間違いなく私が今まで食べた中で最高の仏跳牆だ。比べてみると、今まで食べていたものはまるでゴミのようだ」

厳谷お爺さんがそう言うのを聞いて、他のお爺様方も急いで箸を取り、あっという間に風が吹くように一鉢の仏跳牆を完全に平らげてしまった。スープまで飲み干し、一滴も残さなかった。

北川麟兎と北川倫慶:「……」

箸を取ろうとした手を、また黙って下ろし、必死に唾を飲み込んだ。

うぅ、彼らはまだ何も食べていないのに、うぅうぅ。

二人の窮状を見てか、お爺様方も恥ずかしそうにしていた。青木のお爺様は他のお爺様方を叱りつけた:「見てみろ、まるで飢えた狼のように食べて、若い二人はまだ何も食べていないじゃないか、まったく」

そう言いながらも、自分も先ほどは飢えた狼のようだったくせに、たちまち皆から軽蔑の視線を浴びた。

幸い青木朝音はこうなることを予想していたので、二品目は二人前用意していた。それは家庭料理の麻婆豆腐だった。

北川麟兎と北川倫慶が喜んで箸を動かそうとしたとき、厳谷お爺さんが突然手を上げて止めた。「ちょっと待て!」

北川麟兎と北川倫慶はまた黙って箸を置き、唾を飲み込んだ。

「あぁ、私たちは何を忘れていたんだ?写真を撮ってSNSに投稿しなきゃ」