第222章 私の愛する人は、私の愛人ではない(2)

彼女はまっすぐ前方のテレビを見つめ、長い間見続けた後、ようやく頭の中に思考が浮かんできた。

つまり、彼女が目覚めた後、ずっと心に留めて探していた人は、実は余光さんだったの?

そうよね……今この世界で、両親以外に彼女に一番優しくしてくれたのは余光さんだった。翡翠の持ち主が毎月彼女を見に来ていたのは、心の底で彼女を気にかけていたからに違いない。足首を捻挫しただけで一晩中彼女のそばに来てくれた余光さん以外に、誰がここまでしてくれるだろう?

それに、どうして忘れていたのだろう、余光さんと偽装結婚した後、余光さんが京都に来る日はいつも18日だったことを……

次々と思いが森川記憶の頭に浮かぶにつれて、彼女の心臓は鼓動を速めた。

そうか、余光さんだったんだ。彼女が昏睡状態だった3年間、彼女のことを忘れなかった人は余光さんだった。

そうか、彼女が探していた人は余光さんで、まさか余光さんだったなんて……

説明しがたい不思議な感情が、瞬く間に森川記憶の胸いっぱいに広がり、彼女の心の中で激しく交錯し、彼女はほとんど座っていられないほどだった。

彼女はずっと、自分と余光さんの間の距離をうまくコントロールできると思っていた。すべてが取り返しのつかない状態にならないように。

でも今になって、彼女は余光さんの優しさを過小評価していたことに気づいた。

この優しさは、静かで繊細でありながら重みがあり、まるでこの世で治療法のない猛毒のように、少しずつゆっくりと彼女の肌から体内に浸透し、五臓六腑、全身の経絡に行き渡り、彼女は防ぎようもなく、抵抗することもできなかった。

森川記憶は分からなかった、この毒に対して、彼女がどれだけ長く耐えられるのか、自分が倒れないように。

でも彼女は分かっていた、今この瞬間、彼女の理性がまだあるなら、歯を食いしばって理性的でいなければならないことを。

なぜなら、彼女と余光さんの間には、まだ髙橋綾人という存在があるから……

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森川記憶の足の怪我が完全に治った後、予定通り琵琶湖へ行った。