メッセージの返信が成功した後、森川記憶はようやく気づいた。今はもう深夜の12時近くで、彼女が余光さんに髙橋綾人が会議中だと伝えたことは、間接的に彼女と髙橋綾人が今一緒にいることを伝えてしまったのではないか?
森川記憶は髙橋余光に誤解されることを恐れ、再び画面にメッセージを打ち始めた。
「今日撮影中に、デブが撮影現場に遊びに来たの。夜は彼らと一緒に食事をして、遅くなったから横浜に戻らずに、和歌山にいるの」
森川記憶は髙橋余光がデブのことを覚えていないかもしれないと思い、さらに付け加えた:「デブのこと覚えてる?高校の時、髙橋綾人と一番仲が良かった、ちょっと太めの男の子、清水寒っていう名前」
おそらく会議中で返信しづらいのだろう、しばらくしてから「髙橋余光」からの返信が来た。内容も簡潔だった:「覚えてるよ」