掌の中に震動を感じるまで、森川記憶は我に返らなかった。
下を向いて、携帯を見ると、髙橋余光からのメッセージが届いていた。「君の話を聞くと、綾人が好きな女の子は、ちょっと目が見えてないみたいだね。」
共感を覚えた森川記憶は、激しく頷きながら返信した。「ちょっとどころじゃないわ、完全に目が見えてないのよ!」
メッセージを送信した直後、森川記憶は大きなあくびをした。
少しして、髙橋余光からの返信が来た。「もう遅いから、寝たほうがいいよ。」
「うんうん。」森川記憶は「うん」を二つ続けて返信した。
髙橋余光:「おやすみ。」
「おやすみ。」返信した後、森川記憶はソファにもう少し座っていたが、眠気に勝てず、ようやく携帯を持って立ち上がった。
彼女の動きが、会議中の髙橋綾人の注意を引いた。彼は顔を上げて、彼女の方を見た。