第446章 私が家まで送る(6)

髙橋綾人は言い終わると、座席に二秒ほど座ったまま、森川記憶の返事を待たずに、ドアを開けて車から降り、車の前を回って助手席の側に行った。

彼はドアを開け、まず森川記憶のバッグを取り、それから身をかがめて彼女を車から抱き上げ、足を上げてドアを閉めると、大股でエレベーターへと向かった。

家に戻ると、髙橋綾人は森川記憶をソファに置き、携帯を取り出して、画面を操作しながらベランダの窓の方へ歩いていった。

広い室内には二人だけで、深夜だったため、マンションは静まり返っていた。髙橋綾人は電話をつなげると、声は大きくなかったが、言葉ははっきりと聞こえた。「寝てた?そう...急に少し用事ができて、来てもらいたいんだ...運転手を迎えに行かせる必要ある?わかった、家で待ってるよ、すまないね...」