第425章 私は本当に愛している、私と結ばれない彼女を（5）

彼女は本当に髙橋余光との婚姻関係を解消するつもりなのか……

もし数日前、彼が彼女に責任を取ると言い、彼女がそれを拒否したあの場面がなければ、彼は彼女のこの決断を聞いて、心の底からとても喜んだはずだ。

しかし今、彼は彼女のこれらの言葉を聞いて、心の中には言い表せない動揺があった。

彼はただ、彼女が彼の責任を望まず、あの夜を一つの過ちとして扱い、さらにはその後すぐに緊急避妊薬を飲んで彼との後々のトラブルを避けようとしたから、髙橋綾人の世界では、彼と彼女の少しの未来も見えなかった。彼は本当に行き詰まり、やむを得ず兄の身分で彼女に告白することを選んだのだ。

彼は、彼女と一緒にいられるなら、たとえこの一生を兄の身分で過ごさなければならなくても、それでもいいと思っていた。