第510章 これから先、私の心の中にはあなたがいる(10)

同じようなことは、これだけではなかったが、後になって陳白の記憶に最も深く刻まれたのは、「強制カップルシャツ」のアップグレード版だった。

いつものように、それはある午後のことだった。午前中に雷雨が降り、夏特有の蒸し暑さが和らいでいた。

髙橋綾人がオフィスで田中白と今後の出張スケジュールについて話し合っているとき、森川記憶からメッセージが届いた。

そのメッセージは、森川記憶が自ら髙橋綾人に送ったものではなく、昼食時に髙橋綾人が彼女に「何してる?」と送ったメッセージへの返信だった。「退屈してるの。絵里が用事があって、一緒にゲームができないから、GUCCIから家に届いたばかりの雑誌を見てるところ」

髙橋綾人は田中白の話に返事をしながら、画面を数回タップした。「見せてよ」

しばらくすると、髙橋綾人の画面に10枚以上の画像が届いた。髙橋綾人はそれらを適当に見て、いくつかの画像を選んで森川記憶に送った。「この新作はなかなかいいね」