第505章 これから先、私の心の中にあなたがいる(5)

菅生知海の話す息が、佐藤未来の唇の端にそっと柔らかく吹きかかり、くすぐったく、痒く、未来の呼吸を一瞬止めさせ、垂れていたまつげがすぐに震え始めた。

彼女はまるで急所を突かれたかのように、衣服の襟をしっかりと掴んだまま、その場に立ち尽くし、他にはわずかな動きも許されなかった。

彼女はなかなか菅生知海の言葉に返事をしなかったが、頬には徐々に赤みが差していった。

「未来……」菅生知海がまた声を出した。その口調は恋人同士の囁きのように優しく穏やかだった。「……何も言わないのは、まだ考えがまとまっていないからかな?」

菅生知海は言い終えると、しばらく待ったが、佐藤未来がまだ反応しないのを見て、再び声を出した。「大丈夫だよ、未来、僕は待てるから……」

そう言うと、菅生知海は佐藤未来の唇に近づけていた自分の唇を離し、手を伸ばして愛おしそうに彼女の長い髪に触れ、そして横を向いてケーキに目をやった。「ケーキを切ろうか……」