第521章 これから先、私の心の中にはあなたがいる（21）

森川記憶が悲鳴を上げた時、千歌はまだ少し茫然としていた。隣から「あっ」という小さな声が聞こえて初めて、彼女は声のする方向に顔を向けた。彼女が自分の真正面の足元を見つめているのを見て、視線をそちらに移すと、森川記憶が無実で哀れな姿で自分の足元に倒れているのが見えた。

千歌はその場で呆然とし、丸三秒経って、ようやく自分の手を見下ろした。

彼女は自分の手のひらをじっと見つめ、何度も何度も見た後、頭の中にようやく一つの考えが浮かんだ：さっき全然力を入れていなかったのに、どうして森川記憶が地面に倒れたのだろう？

松本儀子は寿司を取りに行った時、偶然近くを通る人が「千歌が誰かともめている」と小声で話しているのを聞き、興味を持って千歌がいる方向をちらりと見た。

森川記憶の体の半分は人に隠れて見えなかったが、松本儀子は彼女の見える服の一部から、千歌の前で何度もお辞儀をしている女の子が森川記憶だと分かった。彼女は考えるまでもなく食事トレイを置き、千歌と森川記憶がいる方向へ急いで駆けつけた。