第109章 【109】南条陽凌と一緒に買い物3

「奥さん、君のベッドでのテクニックがすごいって噂だけど、今夜は帰ったらその評判に恥じないようにしてくれよ！」

群衆の中から一瞬、息を飲む音が響いた。

夏野暖香は目を上げて彼を怒りの目で睨みつけたが、その額はすぐに柔らかな唇でキスされた。

悲鳴が次々と上がった。

「あの男...彼女をとても愛しているように見える...」

「うう...羨ましい...」

「あんな男と一緒にいられるなら、一晩だけでも、死んでも本望だわ！」

そのキスはとても短く、南条陽凌はキスを終えると、彼女が反応する前に直接彼女の手を取った。

「行こう、奥さん！」

夏野暖香は受動的に彼に手を引かれ、群衆の視線の中、ショッピングモールへと歩いていった。

彼の手は大きく、温かい掌が彼女の手を包み込んでいた。

心の中にも、何とも言えない暖かい流れが広がるのを感じた。

この男は...

話し方は人に好かれるタイプではないけれど。

でも時々、認めざるを得ない、彼と一緒にいると、いつも心理的な優越感を得ることができる。

もちろん、彼女はそんな感覚に特別惹かれているわけではないが、どんな女性でも皆に羨まれ称賛されて、悲しい顔をする人はいない。

女性は、結局のところ多少なりとも虚栄心を持っているものだ。

夏野暖香は唇の端をわずかに曲げたが、南条陽凌が振り返って彼女を見た瞬間、すぐに表情を引き締めた。

南条陽凌は彼女の手をぎゅっと握り、「笑いたければ笑えばいい、あの女たちに妬まれる感じ、気持ちいいだろう？」

夏野暖香は冷たく鼻を鳴らした：「誰が欲しがるものか、もし彼らが真実を知ったら、ただの見かけ倒しだってわかるわ！」

南条陽凌は言葉に詰まった：「夏野暖香、お前はやっぱり黙っていた方がいい、口を開くたびに人を殺したくなる。」

「いいわよ、今からは、先に話した方が負けね！」夏野暖香は得意げに言い終わると、口をきつく閉じた。

「夏野暖香～！」南条陽凌は眉を上げ、目に怒りの光が走った。

「負けた！あなたが先に話したわ！」夏野暖香は彼を指さして興奮して大笑いした。

南条陽凌は足を止め、彼女を一気に自分の胸に引き寄せた。

「何するの！？」

「夏野暖香、ここで無理やりキスするぞって言ったら信じる？」南条陽凌は歯ぎしりした。