第120章 【120】まさか彼のテクニックが下手だと言うなんて4

「昨夜は……」南条陽凌は夏野暖香を一瞥し、口元を歪めた：

「昨夜は別の女のところにいたんだ。あの女は技術が下手すぎて、お前の半分にも及ばない……」

「もう！また他の人と私を比べるの！私の技術が良いなら、どうして外の女を探しに行くのよ！」

松本紫乃は小さな拳で南条陽凌を叩きながら、甘えた声で言った。正妻である夏野暖香を全く眼中に入れていなかった。

まるで彼女こそが正妻であるかのように。

夏野暖香はもう発狂しそうだった。

昨夜、南条陽凌に散々弄ばれたことを思い出し、それなのに彼女の技術が良くないと文句を言うなんて？彼女が彼に不満を持っていないかどうかも聞かないで！

夏野暖香は言葉もなく身を背け、台本を手に取って覚え始めた。この二人がイチャイチャするのを見て目を汚したくなかった。

南条陽凌の視線が夏野暖香の背中に落ちると、一瞬にして周囲の空気が冷たくなった。

この女は、妻としての自覚が全くないようだ。

彼女に黙って撮影に来るのはまだしも、彼が他の女性と親密にしているのを見ても、まばたきひとつしないなんて。

南条陽凌は濃い眉を上げ、突然松本紫乃を引き寄せ、そして身を屈めた。

熱い唇がそのまま降りていった。

松本紫乃は驚きの声を上げ、彼の腕の中でくずおれた。

空気の中に悲鳴が響き渡った。

全員が夏野暖香に視線を向けた。

夏野暖香が振り向くと、親密に舌を絡ませ合う男女の姿が目に入った。

松本紫乃はほぼ全身を南条陽凌の体に絡ませ、周囲の視線など全く気にせず、キスを楽しんでいた。

南条陽凌も強引にキスをし、柔らかい体を抱きしめながら、視線はさりげなく夏野暖香に向けられていた。

その目には挑発と復讐のような快感が宿っていた。

しかし夏野暖香は少しも苦痛を感じず、むしろ他の人たちの視線によって、顔が火照るのを感じた。

何を見てるのよ、あの二人が皆の前で発情してるのに、どうして私を見るの？

その感覚は、まるで服を全部脱がされて大通りに放り出されたようだった。

夏野暖香はとても居心地が悪く、行くべきか残るべきか迷っていた。

もし突然立ち去れば、きっと皆は彼女が怒ったと思うだろう！

でも、もし残れば、皆の好奇の目に耐えなければならない。

突然、彼女は何かを思いついた。

手にした台本を取り上げ。

脇にいる山下婉の前に歩み寄った。