第116章 【116】教えて、あなたは私が恋しい3

南条陽凌はまさに獣のようだった。

夏野暖香は彼の頭を押しながら「やめて……」と言った。

「愛していると言え!」南条陽凌は片手で彼女の顎を掴み、命令した。

「私は……あなたが嫌い!」彼女は罵った。

南条陽凌はふっと笑った。

彼は彼女の顎を持ち上げ、媚びた目つきの彼女を見つめ、その熱い視線は彼女を焼き尽くさんばかりだった。

「君は嘘をつけても、君の体は嘘をつけない……」彼は少し得意げに言い、再び彼女にキスをした。

夏野暖香は最後には抱えられて浴室から出された。

彼にどれだけ責められたのか、もはや分からなかった。

もう東西南北も分からなくなっていた。

……

夏野暖香は翌日、金田正元から教えられた場所に従って、撮影現場へ向かった。

撮影現場は彼女がテレビで見たことがあるものとほぼ同じで、あちこちに様々な衣装を着た俳優たちがいた。

様々な小道具や雑貨が隅に積み上げられていた。

カメラや機材が空中にあり、多くのスタッフが忙しく働いていた。

夏野暖香はスタッフの一人に尋ね、それからカメラの近くで金田正元監督を見つけた。

彼女は以前実際に会ったことはなかったが、テレビで彼の写真を見たことがあったので、一目で彼だと分かった。

金田正元監督も彼女を見つけた。

「夏野さん、来てくれましたね。こちらです」金田正元監督は立ち上がり、熱心に彼女に手を振った。

夏野暖香は少し恐縮した。

この金本監督はテレビでは年配に見えたが、実際はかなり若く、痩せていて、眼鏡をかけ、頭には日よけ帽をかぶっていた。

おそらく金田正元の反応のせいで、もともと彼女に全く注目していなかった他の多くの俳優たちも、彼女に視線を向けるようになった。

金田正元監督に重視される俳優は、きっと並の人物ではないだろう。

夏野暖香はテレビで見たことのある多くの顔見知りを見つけた。名前が分からない人もいれば、彼女がとても好きな人もいた。

特に松本紫乃は、今日古風な長いドレスを着て、お姫様のように、とても神秘的で美しかった。

もともと撮影中だったが、突然止まって彼女に視線を向けた。

夏野暖香は以前彼女が出演した『千里飛雪』がとても好きで、その中の片桐雪がとても美しいと思っていた。

以前は彼女と対面できる日が来るとは思ってもみなかった。

まして一緒に撮影するなんて。