南条陽凌は声を聞いて一瞬驚き、その後「プッ」と笑い出した。
人差し指で彼女の鼻先をちょんとつついた。
その仕草は、まるで愛おしむかのようだった。
「なるほど、あなたは別の世界から来た小さな妖精なのね?だからか。でも、この小さな妖精は少し野蛮すぎるようだね。きっと神様に甘やかされすぎたんだろう?」
夏野暖香の顔が曇った。
目を上げて無言で南条陽凌を睨みつけたが、彼の整った顔が急に沈み、柔らかな唇が彼女の唇を塞いだ。
夏野暖香の顔にはまだ少し赤みと腫れがあったため、彼の顔が彼女に触れた時、彼女は眉をきつく寄せた。
南条陽凌のまつ毛は長く密で、小さな扇子のように、まぶたに垂れていた。
彼女にキスをする時、目を閉じ、その絶世の顔は、まるで妖艶な魔物のようだった。
そして彼女の痛みの呻きによって、ゆっくりと目を開けた瞬間は、さらに息を呑むほど美しかった。
まるで世界中のすべてが消えてしまったかのようだった。
彼は彼女の唇から離れ、両手で彼女の顔を包み込んだ。
長く美しい指先が、彼女の赤く腫れた頬を滑った。しかし彼の顔は離れず、額を彼女の額に押し当てていた。
「とても痛いの?」彼は静かに尋ねた。吐息が彼女の唇に当たり、声は今までにないほど優しく、彼自身も驚くほどだった。
ただ、彼女が痛みに顔をゆがめる様子を見ると、心臓が何かに押しつぶされるように、息苦しくなった。
彼女の肌は白く、非常に滑らかだった。頬も、そして体のあらゆる部分も。
彼女の頬に触れる時、滑らかで柔らかな感触を感じることができた。
彼は認めざるを得なかった。彼は彼女の体が大好きだった。
彼女の体は、上から下まで、すべての部分が極限まで完璧に思えた。
このように素晴らしい体なのに、彼女自身はそれを自覚していなかった。
そして、他人に傷つけられても、自分を大切にすることを知らなかった。
彼女の体が傷つくのを見るたびに、彼の胸は不思議な痛みに引き裂かれた。
まるで傷ついているのは彼女ではなく、自分自身であるかのように。
夏野暖香はまだ眉をひそめたままだった。
目には不満と困惑の色が浮かんでいた。
この男が彼女に優しいのか、それとも意図的に彼女を苦しめているのか、理解できなかった。
毎回、彼女が傷つき、誰かに虐められているのを見ても、彼はまばたきひとつしない。