第198章 【198】イケメン若手俳優がカッコいい1

「あらま！皇太子……」久我悠輝は南条陽凌を見て、まるで具合が悪くなったかのようだった。

もじもじと身体を揺らしながら「久しぶりね……みんな私のことを笑うのよ、皇太子、私のために何とかしてくれないの！」

南条陽凌の目尻の神経がピクリと動いた。

うつむいて夏野暖香を一瞥した。

その視線には複雑な意味合いが含まれていた。

顔を上げ、無表情で皆に言った。「第三の人格の意味が分かったような気がする……」

皆はそれを聞いて、一瞬にして全員が吹き出した。

「皇太子！ひどいわ！」久我悠輝は皆に笑われて顔を真っ赤にし、習慣的に南条陽凌に向かって拳を振り上げようとした。

しかし空中で止まってしまった。南条陽凌の突然冷たくなった視線に、強制的に止められたのだ。

空中に伸ばした手をぎこちなく引っ込め、そのまま自分の髪に触れた。「わかってるわ、皇太子は暖香ちゃんが嫉妬するのを恐れてるのね……」

南条陽凌：……

夏野暖香は手で額を押さえた。

皆：……

橋本真珠は憤然として言った。「久我悠輝、あなた海外に定住したんじゃなかったの？どうして日本に戻ってきたの？」

「橋本お嬢様も前はカナダにいたじゃない？まさか日本はあなたの橋本家が独占してるから、あなたは帰れても私は帰れないっていうの？」

久我悠輝はそれを聞いて、表情を変え、同じように遠慮なく言い返した。

みんなは彼を笑うけれど、皆は長年の友人だし、久我悠輝もそれに慣れていて、皆に悪意がないことを知っていた。

しかし、橋本真珠の一言は、口調に嫌悪と冷笑が滲んでいて、明らかに彼女は骨の髄まで彼を見下していた。

橋本真珠は言葉に詰まった。「あなた……」

「真珠……」橋本健太は視線で彼女に警告した。この状況で人と口論しても品位を落とすだけだ。

それに、久我悠輝は表面上は陽気だが、本質的には必ずしも簡単に虐められる人ではない。結局のところ、彼も強力なバックグラウンドを持っている。そうでなければ南条家の人々と友人になることもできなかっただろう。

だから、彼と敵対することは橋本家にとって何の利益もない。

ただ、橋本真珠の性格では、そこまで深く考えられなかった。

橋本真珠は不満そうに怒りを抑えるしかなかった。