第230章 【230】9999本のチューリップ3

彼女は頭を布団の中に突っ込んだ。

しばらくして、ぼさぼさの髪のまま、また顔を出した。

怒りながら携帯を手に取り、通話ボタンを押した。

南条陽凌が一体何をしたいのか、見てやろうと思った!

「夏野暖香、命令する。今すぐ、直ちに……はっくしょん~あなた……はっくしょん……すぐに私の前に現れろ!さもないと、お前は死ぬ……は……はっくしょん……死ぬことになるぞ!」

南条陽凌はどうしたのか、話しながら、連続して何度もくしゃみをしていた。

夏野暖香は彼に呆気にとられた。

「南条陽凌、お願いだからくしゃみが終わってから命令してくれない?どうせあなたが何を言おうと私は行かないわ!昨日あなたが出て行けって言ったから、私は出て行った。今度は戻ってこいって?ごめんなさい、もう遠くに行っちゃったわ!」

「夏野暖香……お前……はっはっはっはっはっ……はっくしょん……あ……ツーツーツー……」向こう側で、南条陽凌はまたくしゃみを始め、最後の一つが終わる前に、通話が切れた。

夏野暖香:……

南条陽凌はまさに独裁的なファシストだ!もう二度と彼のところに行って苦しむものか。昨日、彼に苦しめられたのはまだ足りないとでも言うの?

夏野暖香は決心した。南条陽凌が何を言おうと、今日は彼に会いに行かない。

しかし、夏野暖香は南条陽凌に邪魔されて、ベッドに横になったまま、また不眠になってしまった!

あちこち寝返りを打ち、長い間もがいていた。30分後、また携帯が鳴った。

夏野暖香は今度はすぐに電話に出た。

「南条陽凌、一体何がしたいの!」

「若、若奥様……ガシャン——!」グラスが割れる音、「若奥様、私は武田達也です……すぐに病院に来てください、若様を見てあげてください……」

「え?あなたなの……彼はまた何かあったの?」夏野暖香は武田達也だと聞いて、驚いた。向こうの様子からすると、南条陽凌というご主人様はきっとまた怒っているに違いない!

「すぐに来てください、若様の具合がとても悪いんです!彼は……」

「誰か……武田達也、入れ!」向こうから、南条陽凌のかすれた怒鳴り声が聞こえてきた。

「若様はもうダメかもしれません……」武田達也は小声でそう言うと、急いで電話を切った。

「……」