第178章 【178】お腹いっぱいになってから運動する力が出る1

目の前のこの身なりのいい男が、こんなに美味しい料理の前で、考えていることはあのことだなんて！

でも、今は彼とそんなことで言い争う気もない。美食の前では、やっぱり食いしん坊が一番！

夏野暖香は箸を手に取り、さっそく食べ始めた。

これを一つつまみ、あれを一口食べ、目を輝かせながら、大きな塊をほおばる。

南条陽凌は彼女が食べることだけに夢中になっている様子を見て、思わず頭を振って微笑んだ。

その美しく端正な顔は、灯りの下で、比類なき気品を放っていた。

おそらく夏野暖香だけが、こんな妖艶な顔を前にしても、自分の食事に夢中になれるのだろう。

ある人が前に進み出て頭を下げ、恭しく言った。「若様、早瀬部長と後藤部長がお待ちです。」

「中へ通しなさい。」南条陽凌はワイングラスを手に持ち、視線は夏野暖香に向けたまま、顔を上げずに言った。

夏野暖香の食事を邪魔しないように、彼らが来た後、南条陽凌はさっと手で指し示し、彼らに夏野暖香から一つ空いたテーブルの角の席に座るよう命じた。

スタッフはすぐにその上の照明を最も明るく調整した。

二人の部長が南条陽凌に最近の業務状況を報告する中、照明の下で南条陽凌は目の前のノートパソコンの画面を見つめ、長い指でマウスを滑らせ、細部まで丁寧にチェックし、一つの細部も見逃さなかった。

財務に関して提起した質問も、非常に専門的だった。

部長たちは南条陽凌の真剣な様子を見て、思わず冷や汗をかいた。

幸い、ここで何か小細工をしなかった。さもなければ、確実に終わっていただろう。

しかし、南条陽凌のような完璧な男の下で働けるのは、確かに彼らにとって光栄なことだった。

ユーラシアの王である南条若様といえば、彼の名前が出るだけで、多くの人が手の届かない存在だと感じるほどだ。

もし南条家で働くことができ、さらに南条陽凌と頻繁に面と向かって話せるなら、たとえ仕事の話だけでも、それを人に言えば、とてつもない名誉になる。

ただ、彼らの視線は時々、こっそりと横で食べ続ける夏野暖香の姿に向けられていた。

以前は、南条若様もよく女性を連れてここで食事をしていた。

しかし、それらの女性たちは、誰一人として若様におもねらず、若様が箸をつけなければ、死んでも先に食べようとはしなかった。

しかし、この若奥様は、まるで若様を空気のように扱っている。