第201章 【201】クルーズ船での驚き1

南条陽凌は背筋をまっすぐに伸ばし、夏野暖香が逃げていく背中を見つめながら、思わず口元を緩めた。

夏野暖香はトイレから出て、二歩ほど歩いたところで、廊下でイブニングドレスを着た数人の女性たちの会話が聞こえてきた。

「ねえ、見た？黄色いドレスを着た少女よ。さっき彼女の横を通ったんだけど、とても不器用で、お皿を落としそうになったわ！てっきりここのウェイトレスかと思ったわ！」

「そうよ、私も見たわ。でも皇太子や橋本さんたちと知り合いみたいよ！」

「違うわ、夏野暖香の友達だって聞いたわ……夏野暖香はそれなりにお嬢様なのに、どうしてあんな粗野な友達と付き合うのかしら？彼女が女優？冗談じゃないわ、サーカス団員でしょ！ハハハ！」

「そうよね……一目見ただけで庶民出身とわかるわ。こんな場に参加する勇気があるなんて、ダイヤモンドの金持ちを釣り上げようとでも思ってるのかしら。本当に厚かましいわね……」

夏野暖香はもともと外に出て他人と衝突するつもりはなかった。

しかし、最後に聞いた彼女たちの言葉に、彼女は激怒し、我慢の限界を超えた。

ちょうど飛びかかろうとした時。

突然、横から冷たい男性の声が聞こえてきた。

「人の陰口を叩き、侮辱する。こんな女性たちも、そんなに育ちが良いとは思えませんね？」

数人の女性たちはその声を聞いて、一瞬固まり、同時に振り返った。

「橋本…さん……」数人の女性たちは顔色を変え、すぐに困惑した表情を浮かべた。

「私たちは……」

夏野暖香は橋本健太の姿を見て、彼の高い背丈が自分の前に立っているのを見て、体が硬直した。

橋本健太は穏やかに微笑みながら夏野暖香に言った：

「暖香ちゃん、今回のクルーズパーティーには、素養の高い貴族のお嬢様や名家の令嬢だけを招待したはずだけど、どうやら帝様のセキュリティシステムがうまく機能していないようだね。変な連中が紛れ込んでいるよ。」

橋本健太はゆっくりと言葉を紡いだが、その言葉は前にいた名家のお嬢様たちの顔を真っ赤にさせ、恥ずかしさで身の置き所がなくなった。彼女たちの顔は赤くなったり青ざめたりした。

夏野暖香は彼女たちの顔色を見て、すぐに相づちを打って笑いながら言った：