第540章 私はずっとあなたの側にいる

弁護士は驚いて彼女を見つめた。「夏野さん、南条帝国の株式は多くの人が夢見るものです。実際、たった3パーセントでもあなたとご家族が何世代にもわたって裕福に暮らせるほどです。この15パーセントは天文学的な数字に等しいのですよ。」

「だからこそ、私は受け取れないのです」夏野暖香はさらりと言った。誇り高さと骨の髄まで染み込んだ気高さを漂わせながら。彼女は離婚した後も南条陽凌に恩を着せられたくなかった。

それに、夏野暖香はお嬢様として育ったのだから、骨の髄まで誇りを持っているはずだ。彼女が生きていたとしても、このような施しは受け入れなかっただろう。

何より、前回彼女が南条陽凌に要求したのは、彼が離婚しないようにするためだったのだ。

今や、橋本健太は記憶を失い、蒋田雪と南条陽凌が一緒になっても彼を傷つけることを心配する必要はなくなった。自分にも何の遠慮もなくなったのだ。

だから、南条陽凌の施しなど絶対に受け取るつもりはない!

結局、夏野暖香は離婚協議書にサインした。

夏野暖香は二階で荷物をまとめていた。実は前回、彼女の荷物はすでにまとめてあり、基本的に身の回りの服だけあれば十分だった。

スーツケースを持って階下に降りると、芸子が見かけて急いで言った。「お嬢様、どちらへ?本当に帝様と離婚されたのですか?」

「ええ」夏野暖香は微笑み、隅で盗み見ている女中を見て言った。「協議書にはもうサインしたわ。これで私は自由よ」

芸子は不満そうに言った。「あまりに性急すぎます。旦那様はただ一時的に怒っているだけかもしれません。あなたがこうすれば、ご両親もきっと悲しまれるでしょう」

夏野暖香はため息をついた。「このことは、しばらく彼らには言わないでおきましょう。まだどうするか決めていないの。南条陽凌が同意するなら、あなたはここに残ってもいいわ」

「でも...」

「もういいの、私は行くわ」夏野暖香はそう言って、スーツケースを持って足早に外へ出た。

「若奥様...若奥様...」後ろから何人かの使用人が出てきて、名残惜しそうに彼女を呼んだ。

夏野暖香は足を止め、皆に微笑みかけた。「さようなら...」そう言って、ドアを押して出て行った。

外に出ると、まず店に行って携帯電話を買った。そして新しくSIMカードも作り直した。関口月子に電話をかけた。