朝、林薫織はいつものように藤原輝矢のアパートにやってきた。
昨日、藤原輝矢は一日の大半姿を消し、彼女が仕事を終えても戻ってこなかった。彼女はほっと胸をなでおろした。少なくともこれは、彼女と藤原輝矢が顔を合わせる機会が少なく、藤原輝矢が彼女を困らせる機会も少ないということだった。
ただ、彼女は始まりを予測できたが、結末を予測することはできなかった。
アパートのドアを開けた時、彼女の頭は数秒間フリーズした。彼女は一歩後退して頭上のドアプレートを確認した。間違いなく、これは確かに藤原輝矢が住んでいるアパートだった。
ただ...アパートが少し散らかっていただけだった。いや、とても散らかっていた。
床には大小様々な酒瓶が散乱していた。洋酒もあれば、ビールもあった。飲み干されていない酒瓶もあり、中の赤い液体が床に流れ出て、まるで血のようだった。
藤原輝矢は昨晩、どうやら出前も頼んだようだ。テーブルやダイニングテーブルには食器が山積みになり、床には割れた皿の破片もあった。木の床には油汚れがべったりとつき、鶏の骨やアヒルの骨なども散らばっていた。
そして林薫織を最も怒らせたのは、洗面所の近くの床に大きな汚物の跡があったことだ。明らかに、昨晩誰かが飲みすぎて、洗面所にたどり着く前に吐いたのだ。遠くからでも、林薫織は酸っぱい臭いを嗅ぐことができた。
彼女は鼻をつまみ、目をそらし、吐き気を必死にこらえながら、心の中では千頭の馬が駆け巡っていた。なぜ藤原輝矢は他の場所で騒がず、わざわざ自分のアパートでやらなければならないのか?
しかし、どうしようもない。部屋がどれほど散らかっていても、どれほど汚れていても、彼女は部屋を掃除しなければならなかった。
林薫織がアパートで苦しみながら掃除をしている間、藤原輝矢は五つ星ホテルで美女と雲雨の戯れを楽しんでいた。ただ、その過程で、彼は何度か心ここにあらずだった。
アパートのあの木の塊は今頃どんな気持ちだろうか?
……
林薫織が団地に戻った時には、すでに空は真っ暗だった。エントランスで、彼女は立ち退き通知を見つけた。今朝出かける時には、この通知は見なかった。おそらく今日貼られたばかりだろう。