第23章 いたずら

朝、林薫織はいつものように藤原輝矢のアパートにやってきた。

昨日、藤原輝矢は一日の大半姿を消し、彼女が仕事を終えても戻ってこなかった。彼女はほっと胸をなでおろした。少なくともこれは、彼女と藤原輝矢が顔を合わせる機会が少なく、藤原輝矢が彼女を困らせる機会も少ないということだった。

ただ、彼女は始まりを予測できたが、結末を予測することはできなかった。

アパートのドアを開けた時、彼女の頭は数秒間フリーズした。彼女は一歩後退して頭上のドアプレートを確認した。間違いなく、これは確かに藤原輝矢が住んでいるアパートだった。

ただ...アパートが少し散らかっていただけだった。いや、とても散らかっていた。

床には大小様々な酒瓶が散乱していた。洋酒もあれば、ビールもあった。飲み干されていない酒瓶もあり、中の赤い液体が床に流れ出て、まるで血のようだった。