第53章 今すぐ火照りを冷ます必要がある!

秘書はデーリーニュースに連絡を取り、デーリーニュースの責任者は察しがよく、すぐにそのニュースを取り下げた。ただ、ソーシャルメディアの方はコントロールが難しかった。

彼が頭を抱えていたとき、突然の重大ニュースが彼を喜ばせた。服を着替えるより早く女性を変える藤原輝矢が、ウェイボーで正式にモデルの木村響子との恋愛関係を公表したのだ。藤原輝矢はこれまで多くの女性と親密な関係にあったが、公に恋愛関係を認めたのは木村響子が初めてだった。

藤原輝矢のウェイボーはすぐに炎上し、わずか1時間で1万件以上のコメントが寄せられた。

「東川秘書、ウェイボーの責任者に連絡しますか?」

秘書は手を振って笑いながら言った。「必要ありません。この件は藤原輝矢が解決してくれるでしょう。」

案の定、わずか1日で人々の注目は林薫織から人気スター藤原輝矢へと移った。一方は音楽界のスター、もう一方は国際的なモデル、二人の名前が一緒になると、それだけで大きなニュース価値があった。

各メディアはこの機会を逃さず、二人の交際を大々的に報道し、林薫織が意図的に禾木瑛香を突き飛ばした事件はすぐにトップニュースから外された。

藤原輝矢はソファに横たわり、ウェブページをめくりながら満足げに口元を上げた。そのとき、木村響子から電話がかかってきた。

「もしもし?」

「藤原輝矢、この結果に満足したでしょう?」

「満足してるよ、とても満足だ。」

「今回はあなたのためにこんな大きな助けをして、自分も巻き込まれたわ。どうやってお礼するつもり?」

「これは双方にとって良いことだろう。あなたには百利あって一害なし。得をしておいて文句を言うなよ。」

「それは否定しないわ。でも、女性の評判も大事だってわかるでしょう。メディアにあなたが私の彼氏だと認めたから、しばらくの間、他の男性に近づくこともできないわ。そうしなければ、あなたの熱狂的なファンに生きたまま食べられてしまうんじゃない?」

藤原輝矢は軽く笑い、妖艶に微笑んだ。「今となっては、あなたが他の男に近づこうが近づくまいが、私のファンに食べられるだろうね。」

「それなのに、これが双方にとって良いことだなんて言うの?私、損してるわよ!」

「わかったわかった、恩を売ったと思っておくよ。どうやってお返しすればいい?」