第57章 高級車と美女

牧野天司のあの桃花眼はたちまちクルミよりも大きく見開かれた。「輝矢、これは……やりすぎじゃないか？」

「怖いなら素直に言えよ。お前が兄貴と同じく根性なしだって知ってたさ」藤原輝矢は冷ややかに鼻を鳴らした。

そう挑発されて、牧野天司は大声で言った。「誰が怖いって？やるならやるさ、今夜お前が何をやりたいか知らないが、俺は最後までつき合ってやるぜ」

「それでこそだ。お前の爺さんが昔、銃弾の雨の中をくぐり抜けた甲斐があるってもんだ」

「当たり前だろ、爺さんは昔、粗末な武器でもロシア軍を追い払ったんだ。こんなの怖がるわけないだろ？」牧野天司は顎を上げて得意げに言った。

他の幼馴染たちは、二人の覇王が目隠しをするのを見て、場の雰囲気に飲まれたくない者でも、渋々参加せざるを得なかった。あっという間に、8台のスーパーカーが一列に並び、夜であっても、その派手な色は非常に目を引いた。

車列から遠くない場所で、露出度の高い服装の女性が手に旗を持っていた。彼女は口にホイッスルを含み、合図と共に旗を振り下ろすと、8台のスーパーカーが弦を放たれた矢のように、彼女の前を猛スピードで通り過ぎた。

目の前は真っ暗で、藤原輝矢は何も見えず、耳だけを頼りにスピードと方向を判断していた。彼は口元を歪め、アクセルを踏み込んだ。わずか数秒で、車のスピードは時速200マイルに達した。

道路の両側で見物していた人々は思わず悲鳴を上げた。藤原輝矢のやっていることは車を楽しむどころか、命知らずの行為だった！目隠しをしているどころか、目を開けていたとしても、時速200マイル以上で飛ばすのは非常に危険なことだった。

すぐに彼らは藤原輝矢が他の人たちを遥かに引き離しているのを目にした。スーパーカーは灯台の下でドリフトを決め、安定して路肩に停車した。それに続いて人々の熱狂的な悲鳴と口笛の音が響いた。

藤原輝矢は手を上げて目隠しを取り、それを投げ捨てると、観衆に向かって色っぽくキスを投げかけ、女性の同伴者を腕に抱き寄せ、皆の目の前でフレンチキスを交わした。しばらくして、彼は腕の中の女性を放し、ようやく他の車が次々とゴールラインを通過するのが見えた。