第115章 私はあなたの彼女です

「あなたは誰?」

「私は……彼の友達です。」

「伊藤逸夫の彼女かい?」その老教授は尋ねた。

林薫織は少し躊躇してから、頷いた。

「ここは人が多くて話しづらい。私について来なさい。」老教授は彼女を教室の隣にある事務室に連れて行き、周りに誰もいないことを確認してから、ようやく口を開いた。「橋本君は大学から停職処分を受けたんだ。」

「どうして?彼は先週までT大学にいたのに?」

「今日の大学行政会議で急遽決まったことだ。」老教授は重々しく言った。

「彼は何か間違いを犯したのですか?なぜT大学は彼を解雇するのですか?」

「それについては話せないんだ。」老教授は一旦言葉を切り、また続けた。「お嬢さん、これだけは言っておくが、この件は橋本君の過失ではない。」

彼自身も残念に思っていた。こんなに優秀な若者を、大学がどうして簡単に停職にするのか。世も末だ!