夏芽礼奈は少し泳いだ後、喉が渇いてきたので、近くにいた林薫織に声をかけた。「薫織、ちょっと喉が渇いたから、飲み物を買いに行くけど、何か飲みたいものある?」
「なんでもいいよ」
「なんでもいいって一番困るんだよね」
「じゃあ...コーラを一缶お願い」
「わかった、ここで待っていてね、すぐ戻るから」
夏芽礼奈が離れた後、林薫織はプールの縁に腕をついて、景色を眺め続けた。日は沈んだものの、夕陽の名残がまだ残っていた。雲間から漏れる光が海面に降り注ぎ、まるで炎の塊が海を燃やしているかのようだった。
林薫織は心から感嘆した。自然の力は本当に情緒深く、何気なく一筆描いただけで、息をのむような風景を描き出すことができるのだ。
林薫織がプールサイドで静かに目の前の景色を楽しんでいると、空はだんだん暗くなってきた。背後で突然揺れる水の波が彼女の意識を引き戻し、彼女は笑顔で振り返った。