第154章 バリ島の旅

バリ島は風景が美しく、藤原輝矢は思った。林薫織と一緒にそこへ行けば、観光のようなものだし、彼女の気分も少しは良くなるかもしれない。

彼は良かれと思ってのことだったが、林薫織はありがたく思わなかった。「藤原さん、私...行かなくてもいいですか?」

「ダメだ!」

この女は本当に恩知らずだ。無料で海外旅行に連れて行ってあげるのに、しかも彼のようなイケメンと一緒に。他の人なら、とっくに喜んでいるだろうに、この木頭は本当に木でできているようだ!

藤原輝矢と一緒にバリ島に行きたくなかったが、林薫織は結局小さな声で承諾した。今や藤原輝矢は彼女の衣食の親のようなもの、彼の指示に従う以外に何ができるだろうか?

林薫織は時々、こんな自分が悲しいと思った。

そして、林薫織は藤原輝矢と共にバリ島へ向かった。今回、彼らと一緒に旅行するのは、藤原輝矢の新しいアルバムを録音する作業チームだけでなく、彼のマネージャーである松根もいた。

藤原輝矢が林薫織を連れてきたのを見て、松根の顔に一瞬異様な表情が浮かんだ。芸能界でさまざまな人と長年付き合ってきた彼女が、この状況から何かを察知できないようでは、芸能界で無駄に過ごしてきたことになる。

チェックインの際、松根は林薫織がトイレに行った隙に、藤原輝矢を脇に引っ張り、厳しい声で尋ねた。「これはどういうこと?なぜ彼女も連れてきたの?」

「彼女は僕の生活アシスタントだよ、連れてきて何が悪いの?」

「生活アシスタント?」松根は疑わしげに目を細めた。「いいわ、彼女をここに連れてきたことについては、とりあえず黙っておくわ。でも、藤原輝矢、あなたのマネージャーとして警告しておくわ、もし何か大きな問題を起こしたら、許さないからね!」

藤原輝矢は気にせず、不良っぽく笑った。「姉さん、ただの小さなアシスタントをバリ島に連れてきただけじゃないか、大したことないよ、そんなに大げさにする必要ある?」

「私が大げさ?」松根は嘲笑した。「あなたの下心が見え透いているわ!忠告しておくけど、その下心は捨てなさい。あなたと彼女には未来がないわ。叔父さんと叔母さんの承認を得られないことはさておき、あなたのファンたちの非難だけで彼女は溺れ死んでしまうわよ!」