氷川泉が総合管制室から出てきた時にはすでに夜になっていた。贺集はずっと地下駐車場で待っていて、氷川泉が車に乗り込んだ時、彼の顔色があまり良くないのを見て、声をかける勇気もなかった。後部座席から氷川泉の冷たい声が聞こえてくるまでは。
「市中心病院へ行け」
市中心病院?旦那様はこんな遅くにそこで何をするつもりだろう?
贺集は少し躊躇したが、それでも氷川泉の指示に従ってそこへ向かった。一時間後、黒い車は入院棟の前にしっかりと停車した。
朧げなナイトカラーを通しても、氷川泉はカメラや撮影機材を持った多くの記者たちが建物の前で待機しているのを見ることができた。こんな遅い時間でもまだこれほど多くの記者がいるということは、昼間はどれほどの騒ぎだったか想像に難くない。
林薫織一人でどうやってこれほど多くの記者に対応できただろうか?