藤原哲男から見れば、藤原輝矢はもう完全に救いようがなかった。彼は顔を引き締めて藤原輝矢に言った。「お前がどれだけその女を気にかけているかは知らないが、とにかく療養期間中は、この病室から一歩も出さない。私は禾木毅たちに話をつけておいた。彼らがお前を見張る」
禾木毅は藤原哲男の警備員で、以前は特殊部隊にいた。身のこなしも敏捷性も一流で、彼の目の前から逃げ出すなど夢のまた夢だった。
「兄さん、そんなことできないよ!」
藤原哲男は冷ややかに彼を一瞥して言った。「しばらくの間、おとなしく病院で療養していろ。午後には母さんが帝都から来る。お前のことで、彼女は心臓発作を起こしそうになったんだ。もう変なことを起こして、父さんや母さんを心配させるようなことはするな」
そう言うと、藤原哲男は彼を無視し、ドアのところのボディガードに何か指示を出してから、エレベーターの方へ向かった。ちょうどそのとき、松根がエレベーターから出てきた。