第381章 薫織、私と結婚して

林薫織と藤原輝矢はラベンダー畑の小道に沿って歩き続け、畑の奥に小さな教会があることを発見した。教会は大きくなく、セントポール大聖堂のような壮大さはないが、青空の下、教会の頂上に立つ十字架は特に厳かに見えた。

藤原輝矢は林薫織の手を取り、彼女を教会へと導いた。今日は日曜日ではなく、教会の中には木製の長椅子が並ぶだけで、誰もいなかった。

林薫織は藤原輝矢の後ろについて歩きながら、教会のドーム天井に描かれた油絵を眺めた。彼女は美術専攻ではなく、西洋文化にもあまり詳しくなかったため、油絵が表現しようとしている意味をよく理解できなかった。

そのとき、藤原輝矢が突然足を止め、意図的に数歩後ろに下がり、不意に片膝をついた。林薫織は驚きの色を瞳に浮かべ、思わず「輝矢、何してるの?早く立って!」と言った。