第406章 薫織、連れて行く

彼女は藤原輝矢がここに突然現れるとは思いもよらなかった。

林薫織は指が突然緩み、はさみが花壇の土の中に落ちた。彼女は目の前の男性をぼんやりと見つめ、視界が思わず霞んでいった。

一ヶ月も経っていないのに、まるで一世紀が過ぎたように感じた。彼女の視線は藤原輝矢の顔に落ち、半月ぶりに会った藤原輝矢は相変わらず端正な顔立ちだったが、全体的に痩せて憔悴していた。

彼の足には石膏がはめられ、歩くのもあまりスムーズではなく、むしろぎこちなく、明らかに足の怪我がまだ完全に治っていなかった。

そんな藤原輝矢を見て、林薫織は胸が痛んだ。彼の足の怪我はまだ治っていないのに、なぜここに来たのだろう?彼の足はすでに二度も骨折しているのに、きちんと休養しなければ、後遺症が残ったらどうするつもりなのか?