第414章 吐き気

……

暁美さんは林薫織が洗面を済ませて階下に降りてくるのを見て、思わず笑いながら尋ねた。「林さん、朝は何を召し上がりますか?」

「キッチンに麺はありますか?」

「麺ですか?少し油っこすぎるのでは?氷川さんがおっしゃっていましたが、体調を整えるには、やはり淡白なものが良いと。」暁美さんの言う須藤さんとは、氷川泉が特別に林薫織のために招いた栄養士で、専ら林薫織の食事のバランスを担当していた。

「それなら結構です。どうせお腹も空いていませんから。」

林薫織が何も食べずに出かけようとするのを見て、暁美さんは彼女が昨日一人で二階にこもって一日中ほとんど何も食べなかったことを思い出し、思わず彼女を呼び止めた。「林さん、少々お待ちください。須藤さんに相談してきます。」

暁美さんは、林薫織が朝に栄養価の低い麺を食べるとしても、何も食べないよりはましだと考えた。栄養士も暁美さんの言い分に理があると感じ、反対はしなかった。

キッチンのシェフは氷川泉が高額で招いた一流の腕前の持ち主で、一杯の麺など造作もないことだった。すぐに、熱々で香り高い肉みそ麺が暁美さんによって運ばれてきた。

肉みそ麺は見た目も香りも申し分なく、味も悪くないはずだった。しかし、どういうわけか、麺の匂いを嗅いだだけで、林薫織は少し吐き気を感じた。

彼女は深く息を吸い、熱いお湯を一杯飲むと、その感覚はまた消えた。林薫織は特に気にしなかった。彼女の胃はずっと弱く、以前も時々吐き気を催すことがあった。最近は忙しく、食事も不規則だったので、胃の調子が悪いのも当然だった。

しかし、その麺を、林薫織はあまり食べることができなかった。

「林さん、もう少し召し上がりませんか?」

「もう食べられません。」

「では、熱いお粥を用意しましょうか?」

「結構です。本当に食欲がないんです。」林薫織は席から立ち上がり、暁美さんをじっと見つめ、心から言った。「暁美さん、この間、ありがとうございました。」

「林さん、とんでもないです。お世話するのは私の仕事ですから。」

「それでも、ありがとうございます。」

食事を終えた頃には、贺集の車がすでに別荘の門前で待っていた。林薫織は黙って車に乗り込み、一時間後、目的地に到着した。