……
暁美さんは林薫織が洗面を済ませて階下に降りてくるのを見て、思わず笑いながら尋ねた。「林さん、朝は何を召し上がりますか?」
「キッチンに麺はありますか?」
「麺ですか?少し油っこすぎるのでは?氷川さんがおっしゃっていましたが、体調を整えるには、やはり淡白なものが良いと。」暁美さんの言う須藤さんとは、氷川泉が特別に林薫織のために招いた栄養士で、専ら林薫織の食事のバランスを担当していた。
「それなら結構です。どうせお腹も空いていませんから。」
林薫織が何も食べずに出かけようとするのを見て、暁美さんは彼女が昨日一人で二階にこもって一日中ほとんど何も食べなかったことを思い出し、思わず彼女を呼び止めた。「林さん、少々お待ちください。須藤さんに相談してきます。」
暁美さんは、林薫織が朝に栄養価の低い麺を食べるとしても、何も食べないよりはましだと考えた。栄養士も暁美さんの言い分に理があると感じ、反対はしなかった。