第458章 禾木瑛香、何でも私に直接向かってこい!

禾木瑛香が自分を骨の髄まで憎んでいることを知りながらも、彼女を一人で天ヶ坂に行かせれば、きっと良からぬ考えがあるはずだ。しかし、子供の命を賭けることはできず、禾木瑛香の要求通り、一人で天ヶ坂へ向かうしかなかった。

天ヶ坂はT市の有名な観光スポットで、一方は山に接し、もう一方は海に面している。山と言っても、実際は巨大な岩礁で、その一端は鬼の斧で切り裂かれたかのように、千丈の深さの断崖絶壁となっており、絶壁の下には荒波が打ち寄せる大海が広がっている。

潮が満ちる度に、波が特に大きくなり、景観は格別に壮大になる。このような景観のため、毎日多くの観光客が訪れている。

観光客の便宜を図るため、T市政府はここに展望台を設置した。天ヶ坂では以前、観光客が巨大な波を見ていて崖から落ちるという事故があったため、後に展望台の周りに柵が設けられた。