第418章 自殺

男は顔を曇らせ、頷いて、警戒線を越え、一歩一歩と林薫織の前に歩み寄った。

彼女の顔には涙の跡が残っていた。長い間泣いていたのだろう。そして彼女の空虚で暗い瞳は、男が生まれて初めて恐怖を感じるほどだった。

彼はこれまで林薫織がこれほど絶望的で無力な姿を見たことがなかった。彼女はまるで魂を失った人形のように、その場に動かずに座り、心も魂も抜け殻のようだった。

男の胸が締め付けられた。かつてラベンダー畑での時でさえ、彼女はこんな風ではなかった。

男は口を開きかけたが、しばらくして自分の渋い声が聞こえた。「林薫織……」

林薫織は彼に応えず、依然としてその場で動かなかった。

それを見て、氷川泉は手を伸ばし、林薫織の肩を軽く叩いた。「林薫織、まずは母上を離してあげて。もう亡くなられたんだ。土に還らせてあげないと」