第489章 さようなら、二度と会わない

高橋詩織は少し驚いて、優しい声で尋ねた。「これは私へのプレゼント?」

ちびちゃんは小さく頷いた。

高橋詩織は目を伏せてぬいぐるみを見つめ、少し困った様子だった。彼女はもう大人なのだから、こういうものは必要ないのだが、小さな女の子の好意を断るのも忍びなかった。

「わかったわ、じゃあ頂くね」高橋詩織は目を細めて微笑み、愛情を込めて彼女の頬をつまんだ。「そういえば、あなたの名前をまだ知らないわ。何て言うの?」

「氷川薫理です」

「氷川薫理?」高橋詩織は少し戸惑った。なぜかその名前に聞き覚えがあるような気がしたが、きっと思い違いだろうと気にせず、笑いながら言った。「素敵な名前ね。でも私はちびちゃんって呼ぶ方が言いやすいわ。これからちびちゃんって呼んでもいい?」

人にニックネームをつけるなら、その子の了承を得た方がいいだろう。