第501章 お兄さんが一緒に遊んであげようか

しかし、これはあくまでも小島夕奈と松本一郎の間の私事であり、高橋詩織もこれ以上詮索するのは適切ではなかった。

「あなた、酔ってるわ。送っていくわよ」

「いや、いやよ!」小島夕奈は彼女の腕をしっかりと掴み、しつこく言った。「詩織、座ってもう少し一緒に飲んでよ!」

酔っ払った人の力は相当なもので、高橋詩織は小島夕奈の今の状態を見て、彼女が行きたくないと言えば、本当に何もできないと思った。

彼女はポケットから携帯を取り出し、松本一郎にメッセージを送って来てもらうよう頼み、それから小島夕奈の望み通り、自分にもワインを一杯注いだ。

高橋詩織はお酒が強くないので、たくさん飲む勇気はなく、小島夕奈と杯を合わせるたびに、ほんの少しだけ赤ワインを口に含んだ。一方、小島夕奈は毎回グラスを空にしていた。

高橋詩織はそれを見て、思わず諭した。「少し控えたほうがいいわ。お酒の飲みすぎは体に悪いわよ」

「体に悪い?」小島夕奈は突然苦笑いを浮かべた。「体を傷めるより心を傷めるほうがましよ。詩織、わかる?ここがとても痛いの、とても!」

高橋詩織は目の前の女の子をじっと見つめた。彼女の印象では、小島夕奈はいつも大らかで、のんきな性格だった。今日のような姿は見たことがなかった。

一体何があったのか、彼女をこれほど悲しませるようなことが?

小島夕奈はワイングラスを手に取り、また満杯に注ぎ、それを一気に飲み干した。彼女は重々しくグラスを置き、顔を上げると、目には既に涙の気配が見えた。「松本一郎は私が教養がないって言うの、私が粗野だって。心の底から私を見下してる、認めてくれないの!でも、私にどうしろっていうの?生まれたときから両親に捨てられて、おばあちゃんに育てられたのよ。家は貧しくて、頭もよくなくて、専門学校に行けただけでも精一杯だったわ。もちろん松本一郎の海外留学博士とは比べものにならない!松本一郎の言う通り、私は彼に釣り合わない、釣り合わないのよ!」

小島夕奈は最後に言葉を詰まらせ、また自分にワインを注ぎ、一気に飲み干した。顔を上げて高橋詩織に悲しげに微笑んだ。「自分とは違うレベルの人を好きになって、永遠に叶わない夢を見ている。詩織、私って惨めよね?」