第512章 一人を処理してくれ

高橋詩織をレーマンに送った後、氷川泉は会社に行かず、東川秘書に電話をかけ、腕が立ち信頼できる人を二人見つけて、高橋詩織の身の安全を24時間体制で守るよう依頼した。

氷川泉がこうしたのには、もちろん理由があった。高橋詩織はT市で身寄りがなく、多少の護身術を心得ているとはいえ、やはり力不足で、昨夜のような事態に遭遇すれば、不利な立場に立たされることは避けられない。

昨夜のことを思い出し、氷川泉の表情が一瞬で冷たくなった。昨夜、もし藤田逸真が偶然出手していなければ、高橋詩織はとっくに……

恐ろしい結末を想像し、氷川泉の瞳に殺意が宿った。彼は携帯を手に取り、藤田逸真に電話をかけた。「逸真、ある人物の処理を頼む」

......

東川秘書の仕事の効率は折り紙付きで、わずか数分で氷川泉の指示を完了させ、1時間後には、彼が手配した人物が高橋詩織の写真を持ってレーマンのオフィスビルの下に現れていた。