第599章 私は彼を愛している

時には、考えていたことが現実になることがある。林薫織がちょうど小島紗月にどう連絡を取ろうかと考えていたところ、小島紗月が自ら訪ねてきた。

林薫織は少し不思議に思った。小島紗月がどうやって自分の住所を知ったのか。しかし深く追求せず、結果は彼女の予想通りになった。

「小島さんが朝早くから訪ねてきた理由は何でしょうか?」

「房原くんから離れてください」

林薫織は口元に笑みを浮かべた。この娘は直接的だ。挨拶も省いて本題に入ってきた。

林薫織はそれを歓迎したが、彼女を試してみることにした。もしこの娘の房原城治への気持ちが一時的なものなら、彼女は手助けしないつもりだった。それは時間の無駄になるからだ。

「小島さん、冗談を言わないでください。私は城治の婚約者です。なぜ彼から離れなければならないのですか」

「あなたは彼にふさわしくないからです!」

「小島さんは私のことを知りもしないのに!どうして私がふさわしくないと分かるのですか?それに、たとえ私がふさわしくなくても、あなたがとやかく言う立場ではないでしょう?」

「あなたは!本当に口が達者ね!あなたは房原くんを愛していない、彼と結婚したいのは別の目的があるからでしょう!」小島紗月は彼女を睨みつけた。

「私が彼を愛しているかどうか、小島さんにはどうして分かるのですか?まさか心を読む術でもお持ちなのですか?」

「私は心を読む術なんて持っていません。でも私は女です!女は女のことを一番よく理解しています。あなたが房原くんを見る目つきだけで分かります」もし目の前のこの女性が本当に房原くんを愛しているなら、彼女は諦めるかもしれない。しかし、この女性の心の中には彼がいない。

「へぇ?たった一つの視線だけで分かるというの?でも、私が彼を愛しているかどうかは、私と彼の間の問題です。小島さんとは何の関係があるのですか?なぜわざわざ私の家まで来てこんな話をするのですか?」

「私と関係がないなんて誰が言ったの?私は房原くんを愛しています。房原くんのことは私のことでもあります。私は絶対に房原くんが傷つくのを許しません!」

「なるほど、あなたも彼のことが好きなのですね?」林薫織は驚いたふりをした。

「はい、私は彼が好きです。物心ついた時から、彼が好きで、彼の花嫁になりたいと思っていました」