第601章 罠の宴

林薫織はまつげを震わせ、続いて硬く口角を引き上げた。「そんな風に言わないで、友達を食事に招待しただけなのに、どうしてやりすぎだなんて言うの？」

彼女は心の中で少し不安になった。この男は何か気づいているのだろうか？

すぐに林薫織はその推測を否定した。彼女たちはまだ何もしていないのに、房原城治がどうして知るだろう？

自分で自分を怖がらせないようにしよう。

料理がすぐに揃った。林薫織はまず薫理に多くのおかずを取り分け、小さな子が顔をしかめて拒否するまで続けた。

「ママ、こんなにたくさんのご飯とおかず、私、小さな太っちょになっちゃうよ」

「あなたは成長期だから、十分な栄養を摂るためにたくさん食べなきゃ。いい子だから、全部食べなさい」

薫理は茶碗の中の料理を見つめ、少し困った様子だった。はぁ、どうしてパパもママも彼女を子豚のように育てようとするのだろう。

房原城治は林薫織が子供にばかり料理を取り分け、自分はほとんど箸をつけていないのを見て、彼女に豚の角煮を一切れ取り分けた。

「あなたももっと食べて」

「ありがとう」林薫織は笑って言った。

小島紗月は房原城治の目が林薫織だけに向けられ、自分のことなど全く眼中にないのを見て、心中穏やかではなかったが、今回は表面上の振る舞いはうまくこなした。

彼女は手に持ったグラスを上げ、向かい側の二人に笑いかけた。「あと数日で結婚ですね。ここで先に乾杯させてください」

「ありがとう！」

林薫織は笑顔でグラスを手に取り、房原城治がなかなか動かないのを見て、「房原城治、小島さんが私たちに乾杯してくれてるわよ」と言った。

房原城治は彼女を深くにらみつけ、彼女の心臓がドキドキしている時に、グラスを持ち上げた。

林薫織と小島紗月の二人は房原城治がグラスの酒を一気に飲み干すのを見て、宙に浮いていた心がようやく地に落ちた。

ただ、林薫織は少し不安だった。こんなことをして本当に良いのだろうか？少し卑劣すぎるのではないか？

食卓では、三人はしばらく話をした。正確には林薫織と小島紗月が断続的に話をしただけで、房原城治は最初から最後まであまり何も言わず、時々相槌を打つだけだった。

しばらくすると、薬が効き始めた。房原城治の意識が徐々に朦朧としていき、やがてテーブルに突っ伏して意識を失うのを見て、小島紗月は思わず喜んだ。