第84章 橋本燃が強引にキスされた

高橋淮陽は急いで須藤凛の手を引き止めた。「ごめんなさい、おばさま、私が悪かったです。ただ燃を見て驚いただけなんです。」

須藤凛は高橋淮陽を無視し、素早く橋本燃の前に歩み寄った。

「どうしてこの大会に参加することになったの?あなたは賑やかなところが嫌いじゃなかった?」

「俺がどれだけ頼んでも、お前は俺と大会に参加してくれなかったのに、どうしてこの沢田という男とは参加するんだ?」高橋淮陽は不機嫌そうに尋ねた。

「沢田社長はあなたよりずっと太っ腹よ。賞金は全部私のものにしてくれるだけじゃなく、さらに1000万円のボーナスまでくれるって約束してくれたのよ!」橋本燃は高橋淮陽の傷口に塩を塗るように、彼がケチだという一撃を加えた。

「でもお前は俺に言わなかっただろう、言ってくれれば俺だって承諾したのに!」

いくつかの代理契約の話じゃないか!

「沢田社長だって私が言うのを待ったわけじゃないわ。向こうから自ら条件を提示してくれたの。あなたはビジネスマンでしょう?誰と商売するかしら?」橋本燃は輝くような笑顔で尋ねた。

「ずる賢い商売人め!」高橋淮陽は歯ぎしりしながら言った。

「まるであなたが来れば優勝できるみたいな言い方ね!」松本羽源は橋本燃を見て冷笑しながら皮肉った。

自分の姉が橋本燃によって名誉を失墜させられ、温井時雄も介入せず、姉が21日間拘留されたことを思うと、松本羽源は今すぐにでも橋本燃を殺してやりたいほど憎んでいた。

しかしHOTのプロジェクトがあるため、彼は怒りを飲み込むしかなかった。

しかし、天も彼の味方をしているかのようだった。

橋本燃が自ら競技場に現れたのだ。

冒険競技は命がけであり、毎年モータースピードスケート競技で怪我をする人は少なくなく、命を落とす人もいる。

橋本燃が競技場で死んだとしても、松本家とは何の関係があるだろうか?

「私が優勝できるかどうかはわからないけど、あなたが優勝する命運はないってことだけは確かよ」橋本燃は冷たく傲慢な声で言った。

松本羽源の目に一瞬よぎった殺気を、彼女は見逃さなかった。

ここで彼女を殺そうというなら、今日は彼に人としての道を教えてやろう。