「お前は黒白をひっくり返す技術が本当に見事だな。証拠があるにもかかわらず、目を開けたまま過ちを他人に押し付けることができる。
なるほど、お前が男なのに女のような顔立ちで、狐のような目をしているのも納得だ。骨の髄まで嘘をつくのが好きなんだな。残念ながら、どんなに巧みな言葉を使っても、真実は正義の側に立つものだ。
お前の女友達はすでにお前の悪意のために命の代償を払った。素直にならなければ、お前の結末も彼女と同じになるぞ」橋本燃は冷たい目で松本羽源を見つめた。まるで腐敗した死体を見るかのように。
橋本燃の視線に、松本羽源は彼女が自分を殺そうとしているなら、それはアリを踏み潰すように簡単なことだろうと感じた。
「俺を殺そうというのか?俺の後ろに誰がついているか知っているのか?俺に手を出せば、温井時雄は絶対にお前を許さないぞ」松本羽源は冷静を装い、温井時雄を後ろ盾として持ち出した。
「あなたの未来の義兄は、あなたの実の姉が拘留されても助けなかったわ。彼があなたを守るとでも?たとえ温井時雄があなたを守ろうとしても、私は彼もあなたも一緒に始末できるわ」橋本燃は見下すような目で松本羽源を見つめ、全てを見下すような強さを放っていた。
松本羽源は橋本燃から発せられる強大なオーラに驚いた。以前は気にも留めなかった小物が、こんなに強力で人を圧倒するオーラを放つとは。
どうやら以前は橋本燃の実力を本当に過小評価していたようだ。
今後は軽率に行動できない。
「大口を叩くな。姉の夫まで殺すつもりか?車を乗りこなし、少し武術ができるからといって、天下無敵だと思っているのか?」松本羽源は嘲笑した。
橋本燃は軽蔑的な笑みを浮かべた。「天下無敵とは言わないが、あなたを始末するのは簡単よ。信じないなら試してみる?」
「試してやろう。俺と彼をどうやって一緒に始末するのか、見てみたいものだ!」
氷のように冷たい声が橋本燃の背後から聞こえた。
橋本燃の体が硬直した。
世界で最も恥ずかしいことと言えば……
大口を叩いているところを当の本人に背後で聞かれることだ。
橋本燃はすぐに落ち着きを取り戻し、振り返って冷静な目で温井時雄を見た。